マリオネット
 ここでケンカしたらまた凪がケガしちゃうし。
 近所にも迷惑、警察にも通報されるし。
 やめといたほうがいいに決まっている。

「ダメ。近所にすぐ通報される。私も悪かったから、何もしないで」

 私の言葉を聞いて、男は舌打ちをし帰って行った。

「陽菜乃さん、大丈夫?」
 凪が抱き起こしてくれた。

「大丈夫。まだ何も……されてない。腰が抜けちゃった。あっちまで連れて行って」

 私がそう言うと、彼は軽々私を持ち上げ、ソファへ降ろしてくれた。

「ありがとう」

「本当に何もされてない?大丈夫?」

 なんで凪が泣きそうな顔しているの?
 さっきまで怖い顔してたのに。
 凪はひざ掛けを私に羽織らせてくれた。

「洋服、破れちゃった。最悪」

 私は弱音を吐かないよう、襲われたことはあまり気にしていないといった態度を取りたかった。けれど彼がソファの横に座り、肩を抱き寄せてくれた。

「ごめん。俺が出かけてなきゃ、こんな目に遭わなかったのに」

 凪が悪いわけじゃない、私が今までしてきた行為が今になって自分に返って来ているだけ。ヤラせてくれる都合の良い女として思われて、それを利用しようとした奴が来ただけ。

「怖かったでしょ?ごめんね。俺、陽菜乃さんのボディガードでもあるのに、役に立ってない」

 凪は、自業自得とか思わないの?

「凪は……。私がいけないって思わないの?いろんな男連れ込んでたから、だからあんな奴が来るんだなって思わないの?」
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