マリオネット
 彼の顔を見るのが怖くて、問いかけておいて私は俯いた。

「思わないよ。陽菜乃さんは俺の恩人だから。本当はそんな人じゃないって知ってる。今は自分に一番イライラしてる。俺が居れば良かったのにって」

 自分の感情が溢れ出しそうだった。
 肩を抱き寄せてくれていた彼を、ソファに押し倒し、その上から彼の肩にしがみ付き、彼の胸に顔を埋めた。

「ごめんね!ごめん、凪……」

「どうしたの!?」

 彼は私の行動に驚きながらも、背中を抱きしめてくれた。

「私、もう人生どうだっていいって。どうなったっていいって。死んじゃってもいいって、思ってた。でも実際、痛いことされると嫌で、怖いことされると怖いって思って、殺されるかもって思った時は、死にたくないって思った。自分のやってたことは、ただの自己満足に過ぎなくて、誰かに必要とされたくて身体も預けてた。どうでもいいやって思う半面、誰かに求めて欲しかった……。今自分が何言っているのかよくわからないけど、こんな私なのに、凪が謝る必要なんてないから」

 涙も出てきて、普通の精神状態じゃいられなかった。

「落ち着いて。大丈夫だよ?陽菜乃さん、これからずっと俺が居るし……。今度は俺が絶対守るから」

 よしよしと頭を撫でられる。

「俺、陽菜乃さんがいなくなったら、死んじゃうから。ずっとそばに居てね」
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