マリオネット
 凪は無言でキッチンからリビングに戻り、立っている私の顎を持ち、キスをした。
「んっ……!」
 凪からキスされるのは嫌じゃない。抵抗はしなかった。だが次第に激しくなっていく。

「はぁ……。んん……」

 唇が離れたかと思えば、再び唇を押し付けられる。彼の舌も入って絡まるが、奥まで入れられ息があまり出来ない。私は立ったまま彼にしがみつく。

「んっ、はぁ……。んん!!」

 やばい、こんなキスされたら立っていられない。
 今は彼が私の腰を支えてくれ、離れないようにしている。そのおかげで立っていられるけど。

「な……ぎ……。激し……。んっ、倒れちゃい……そう」

 キスされながら、唇が離れる隙をついて言葉を伝えたが、彼は聞いてくれているのだろうか。

「はぁっ……。じゃあ、ベッドに行こうか?」

 あれっ、怒ってる?
 私の手を引いて寝室に行き、優しく押し倒されるも、完全に私の上になった彼からは逃げられない。

「んっ!……ふっ……はぁっ……んん!」

 貪られるようなキス、頭に酸素がいかない。
 さすがに凪を手で押し退ける。
「一旦、ストップ!」
 私が声をかけると、止めてくれた。

「…はぁっ。どうしたの?急に」

 お互いの唇は、既に唾液で湿っている。
「あいつにキスされたって言うから、俺のキスで上書きして、消毒した」
 彼は、真っすぐ私と目を合わせながら恥ずかし気もなくそう言った。

 えっと、なんて言えばいいんだろう。
 彼なりに気を遣ってくれたんだよね?
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