マリオネット
「……!どうしてそれを?」

「それは秘密だけど。お前、奥さんも子どももいるんだろ。何が不満なんだよ。陽菜乃さんにだって既婚者だって隠してただろ?しかも子ども、受験だろ。こんなことで父親が捕まったらどうするんだよ。考えろよ」

「う、う、うるさい!!俺は何もしてない……。ただ、食事に誘っただけだ!」

「じゃあ、なんで朝から彼女の後を追ってストーカーみたいなことしてんだよ。今だって。あんたの会社と奥さんにこのことバラしてもいいんだけど?」

 田中さんの身体が震えていた。
「残念ながら証拠が無いじゃないか?誰もお前のことなんて信用……」

 凪はポケットからスマホを取り出し
「全部録音しているから。ちなみに朝の行動とかも、全部撮ったから」
 田中さんは何も反抗できなくなったようで、その場は膠着状態になった。

「もう二度と、陽菜乃さんの前に現れるな。連絡も。そうしたら黙っておいてやるよ」

 チッと田中さんは舌打ちをして「わかった」とだけ言い残し、帰って行った。

 凪、スマホどうしたんだろ。
 なんで、この場所にいるんだろう。
 恐怖が去ったら、考えることがたくさんできてしまった。

「陽菜乃さん、大丈夫?」
 彼は私に駆け寄ってくれた。
「とりあえず、帰ろう。そしたらちゃんと説明するよ」
 私の荷物を持ってくれ、二人でマンションに帰った。
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