ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~

(普通、制服で水浴びする?)

 たしかに、今日は気温が三十四度もあって、水浴びにはぴったりの日ではあるけれど。
 美織が呆気にとられていると、目的を達成した正宗からホースを返される。

「ねえ。タオル、貸して」

 したたり落ちる水と、びしょ濡れになった髪。その隙間から覗く鋭利な瞳に、思わず目が吸い寄せられていく。

(綺麗……)

 頭から水を被った正宗は、水やりをしたばかりのひまわりにどこか似ていた。
 ひまわりを連想したのは、ちょうど彼の後ろに立っていたからだろう。

「タオル。持ってないの?」
「え!?あっ。は、はい!あります!」

 我に返った美織は慌てて畑の端に置いてあったスクールバッグからタオルを取り出し彼に渡した。

「さんきゅ」

 これが、正宗とのファーストコンタクトだった。
 それから彼はたびたび園芸部の畑に現れ始めた。
 正宗が寝転がっていたベンチは年中日陰で、真夏でも涼しかったのだろう。
 美織はなぜか正宗に見守られながら、畑の手入れと水やりに勤しむ羽目になった。

(邪魔ってわけでもないし。まあ、いっか)

 最初は戸惑ったものの、結局美織は正宗を受け入れた。
 園芸部員は美織ただひとりだったし、ベンチを独占されたからといって誰も困らない。
 お互いが干渉しない、つかず離れずの距離。
 それが一気に縮まったのは、美織が畑の手入れの最中に倒れたのがきっかけだろう。
 あの日は朝から少し体調が悪かった。
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