ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
『綾辻くんには私の気持ちなんてわからないよっ……』
気づいたときには取り返しのつかない言葉をぶつけてしまったあとだった。
おそるおそる顔を上げた視線のその先には、色をなくしたふたつの暗い瞳があった。
――傷つけた。
正宗はしおれたひまわりのようにうなだれ、美織をただ呆然と見下ろしていた。
傷心の正宗を目の当たりにした美織は逃げるようにして走り去るしかなかった。
十年経った今なら、正宗の言い分も正しいとわかる。
進学した方が美織の将来のためには、よかったのかもしれない。
けれど、あのときは困窮する家族をどうにか養う必要があった。十八歳の肩の上に乗せるには重すぎる責任に押し潰されるわけにはいかなかった。
誰にもこの決意を覆されたくなかった。
担任の先生にも母にだって本心を隠せていたのに、正宗だけが美織の心の扉を無遠慮にこじ開けてきた。
だからこそあんな風に突き放したのだ。
(酷いことをした)
正宗を傷つけてしまったことがショックで、美織はその後距離を取った。
校内で何度か顔を合わせる機会はあったが、言葉を交わすことなく、ふたりはそのまま高校を卒業したのだった。
「本当にごめんなさい」
美織は正宗に改めて謝罪した。
十年前の自分の発言もその後の行動も褒められたものではない。
今さら遅いかもしれないけれど、謝らずにはいられなかった。
「いや、俺が悪かったんだ。錦は悪くない」
「違う!私がいけなかったの!」
「俺が悪かった!」
「だから私だってば!」
互いに責任の所在が自分にあると主張し合っているうちに、大分頭が冷えてきて次第に冷静になってくる。
正宗も同じだったのかふいに目が合うと、弾けるような笑みが溢れ始める。