ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
「あの……。私、大学は行ってなくて……」
「え!?じゃあ高卒?」
「はい」
高卒だと知り驚く阿久津に悪気はない。
皆が当然のように大学に進学する世の中で、高卒で働き始めた美織は珍しい存在になりつつある。
実際この場にいる人は全員大卒だ。
わかってはいたけれど、気まずいものがある。
楽しい会話に水を差してしまったような気分にすらなってしまう。
「へえ、うちの会社って高卒の人が入社できるんだ。知らなかった~」
「それだけ錦が優秀ってことだろう?」
正宗はすかさず間に入り、フォローしてくれた。そして、美織がテーブルに置いた空のグラスを取り上げる。
「おんなじやつでいい?」
「ありがとう、綾辻くん」
美織は二重の意味でお礼を言った。
(気を遣わせちゃったかな)
自分ではとっくに割り切ったと思っていたのに情けなくなる。