ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
「錦ってまだ地元?」
「うん。綾辻くんは?」
「大学生になってからひとり暮らし」
車は順調に夜の幹線道路を走り抜けていく。
(綾辻くんの運転する車に乗っているなんて、変な気分)
改めて考えたら一緒に働いているのもおかしな話だ。
別々の道を歩んだはずのふたりの人生がこんなところで交わるなんて、世の中なにが起こるかわからない。
人生の不思議さに思いを馳せていると、車は自分達が卒業した高校近くを通ろうとしている。
「うわあっ。懐かしい〜!」
「ちょっと寄ってくか?」
正宗はそう言うと車のスピードを緩め、路肩に車を停車させた。
ふたりは車を降りて、フェンス沿いに高校の周りを歩き始めた。
当然中には入れないため、金網越しに校舎の様子を窺う。
「見て!まだひまわりが植えてある!」
「本当だ」
暗闇の中でも背の高いひまわりのシルエットはよく目立つ。
どうやら園芸部はまだ存続しているようで、美織は感激した。
街灯に照らされ薄ら発光するひまわりを眺めながら、隣に立つ正宗に尋ねる。
「もう金髪にする予定はないの?」
「今のところはない」
「ちょっと残念。綾辻くんの金髪、結構好きだったのにな」
「あれは、俺の若気の至りなんだよ」
自分では褒めたつもりだったが、正宗は苦々しげにため息をついた。