ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
◇
約束の日。
美織は朝からふたり分のお弁当を作っていた。
ひまわり畑までは、正宗が車で連れて行ってくれるそうだ。
けれど、運転免許を持っていない美織は途中で運転を交代するができない。
運転を負担してもらう代わりに、昼食を用意する。それが美織に出来る精いっぱいのお返しだった。
「こんなもんかな」
お弁当箱の中には、砂糖をたっぷり入れた卵焼き、野菜の肉巻きに、甘辛く煮たきんぴらごぼう。
おにぎりの具は鮭とたらこ。別添えのタッパーにはりんごとオレンジを詰める。
「うわ、朝から凄いな。どっか出かけるの?」
「うん」
大悟はダイニングテーブルの上に広げられたお弁当を眺めたかと思うと、次の瞬間ドヤ顔でパチンと指を鳴らした。
「さては彼氏でもできた?」
「なっ!違う!」
「二人分の弁当をせっせと作っておいてよく言うよ。しかも、こっちは明らかに男に食べさせる量だし」
大悟は正宗の分の弁当箱を指差しながら言った。
「だから違うってば!」
「別にいいんだぜ。彼氏が出来ても。男っ気がなさ過ぎて俺と母さんも心配してたくらいだし」
なにが悲しくて弟と母親に恋人の有無を心配されなくてならないのだ。