ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
「ノートパソコンの電源がつかない?」
「顧客とのアポイントは午後からなんですが、プレゼンの資料がすべて……」
「バックアップは?」
「ありません……」
「アポイントの日付は変更できるか?」
「先方がいらっしゃるのは今日だけなんです」
海外の顧客と実際に顔を合わせる機会はそう多くない。契約交渉の場で直接プレゼンできるのは稀で、メールやテレビ電話越しとは印象が変わってくるし、熱意も伝わりやすいだろう。
「いちから作り直すしかないな」
「申し訳ありません!バックアップをとっていなかったのは私のミスです」
冴木は委縮しているのか、か細い声で正宗に謝罪する。
(なんだか大変そう)
こっそり聞き耳を立てていた美織は、気もそぞろになってパソコンを眺める振りをした。自分が冴木の立場だったらと考えただけで、恐ろしくてたまらなくなる。
「錦」
「は、はいっ!」
突然正宗に呼ばれた美織は椅子から飛び上がらんばかりに肩を竦めながら立ち上がった。
「一緒に手伝ってもらえる?」
「で、でも……」
先日のトラウマが頭の中をよぎり、言葉尻が濁してしまう。
美織が手伝ったところで貢献できるとは思えないし、緊急事態なら少数精鋭で臨むべきだ。
「綾辻先輩!錦さんには無理だと思います。私だって先輩に手伝ってもらって、三日もかかったんですから」
冴木も同じ考えなのか、正宗に食ってかかる。
正宗はチラリと冴木の顔を一瞥したかと思うと、改めて美織に向き直った。