ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
「できました」
作業開始から一時間半後、お昼休みを返上した結果すべての翻訳を終わらせることができた。
最終確認のためにすべての資料に目を通し終わった正宗は、満足げに口の端を上げると美織に尋ねた。
「タイピングが随分早かったな。それも友人に教えてもらったのか?」
「はい」
友人の楊とはオンラインゲーム内のチャットで会話することもある。中国語方式のタイピングはそのときに覚えた。
「他の言語もできるんだっけ?」
「ハングル語とヒンディー語も少しだけ」
そう答えると冴木が息を呑んだのがわかった。美織が四ヶ国語を操れるなんて想像すらしていなかったのだろう。
「うちの会社が人数合わせでなんの取り柄もない人物を雇うわけがない。錦にはできないってどうして決めつけたんだ?彼女がいなければ間に合わなかったはずだ」
正宗は一層低い声で冴木の失言の意味を問いただした。
「す、すみませんでした」
震えあがるほど恐ろしく冷たい声色で叱責された冴木はひたすら謝るしかなかった。
「冴木、他に言うことがあるんじゃないか?」
「手伝ってくださってありがとうございます」
冴木は苦々し気な表情を浮かべながらも、美織に頭を下げたのだった。