ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~

 ◇

「錦」
「綾辻くん……」

 その日の夕方。仕事を終えて帰ろうとしていた美織は正宗に呼び止められた。

「一緒に帰らないか?」
「うん」

 揃って会社を出たふたりは、駅までの短い道のりを惜しむようにゆっくりと歩いた。

「契約、無事にまとまってよかったね」
「錦がいてくれて本当に助かった。ありがとな」
「ううん。私の方こそ綾辻くんが庇ってくれて嬉しかった」
「庇ったつもりはないよ。全部、錦が元々持っていた能力だ」

 なんのてらいもなくそう言えるのは正宗が十年かけて培ってきた努力と経験の賜物だろう。
 互いに傷つけあった十年前と、本当に違うのだ。
 だから、今なら素直に口に出せる気がした。

「ずっと考えていたんだけど、私、大学受験をしようと思う」

 今にも消え入りそうな声量でそう言うと、正宗の目が大きく見開かれる。
 前々から興味はあって働きながら通える夜間学部や通信制の大学を調べてはいたものの、受験しようという気には到底なれなかった。
 たとえ社会人経験があろうと、十年のブランクは大きい。
 それでも頑張ってみようと決意できたのは、正宗のおかげだ。
 美織はその場に立ち止まると、正宗の瞳を真っ直ぐ射抜いた。
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