ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~

 ◇

 凍てつく冬の終わりが見え始めた三月。
 美織は頭の中で何度も暗唱しながら、スマホの画面に受験番号を打ち込んだ。
 あとは『照会』と書かれた赤色のボタンをひと押しすれば、合否結果が表示される。
 今日は合格発表の日。
 美織はこの日のためにわざわざ有給をとり、自宅のリビングで静かにその時を待っていた。

「おーもうっ!」

 画面をタッチしようとする手が震えている。人生初の体験だ。

「大丈夫?俺が代わりに見てやろうか?」

 姉のただならぬ様子に心配した大悟が、声を掛けてくる。姉の勇姿を見届けるためなのか、なぜか大悟まで有休を取得していた。

「ううん、平気。自分で見られるから」

 美織は指の震えを止めるために、大きく深呼吸をした。
 大学受験をしたいと母と大悟に話したとき、反対されるかと思った。
 二十八歳での受験は普通に考えて遅すぎるし、仕事との両立も大変だからだ。
 けれど、予想とは反対に大悟は『いいじゃん。やりなよ』と軽い調子で賛成してくれた。
 母はその隣で静かに涙を流した。
『ごめんね。美織。美織のやりたいことをやらせてあげられなかったことをずっと後悔していたの』
 ずっと長いこと、気を病んでいたのだろう。母は美織を力強く抱きしめた。
 こうしてふたりはそれまで美織が請け負っていた家事全般を引き受け、受験勉強に専念できる環境を整えてくれた。
 おかげさまでこの半年間、一生懸命勉強できた。試験では全力を出し切ったつもりだ。
 泣いても笑っても今日の結果に悔いはない。
 美織が意を決して、ボタンを押したその直後。パパッと画面が切り替わり、『合格』の二文字が映し出される。
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