ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~


(さすがに疲れたな)

 夕食を終え部屋に戻った美織は、ごろんとベッドに横になった。
 慣れない電車通勤と新しい職場への緊張で、疲れがどっと押し寄せてくる。

(まさか、綾辻くんがいるなんて)

 美織はベッドからゆっくり身体を起こすと、窓際に吊るしてあるひまわり型のサンキャッチャーをそっと指で揺らした。
 残念ながら太陽光のない夜では虹色の乱反射は拝めないけれど、無機質な蛍光灯の光でもそれなりに趣がある。

(綺麗……)

 美織は初めて正宗と会話したときと同じ感想を抱いた。
 高校生の頃の正宗はひまわりそっくりの髪型だった。
 毛先にかけては陽に透けると鮮やかな黄金色だったが、頭頂部は地毛である黒色が目立っていた。

(あんな風に変わってしまうんだ)

 昔の彼はいつもしかめ面で、何を考えているのかわからない男の子だった。
 耳にあったピアスも、どこか憂いを帯びた表情も、今や見る影もない。
 あぶなっかしい幼さが消え去り、余裕や自信にあふれている。
 記憶の中にある面影はそのままに彼はすっかり大人になった。
 何が正宗を変えさせたのだろう。

(ちゃんと話せていたかな)

 仕事中はなんとか普通に接っしていたと思うけれど、その他の時間はわからない。
 美織は再びベットに横たわると、目を瞑った。
 瞼の裏に浮かんでくるのは、十年前――当時高校三年生だったあの暑い夏の景色だった。

< 8 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop