黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「今日は一緒に寝ようか、奥さん」
「え?」
ふらりと、寝室へ近づく。
中には、大きなベッドがひとつだけ置かれていた。
「わ、私はソファ……」
背後に立った光毅さんが私の肩を抱くから、驚いて口をつぐむ。
「夫婦だから、かまわないだろ?」
身を屈めて耳もとでささやかれて、ぶるっと体を震わせた。
自分はソファーで寝ると言おうとした私を遮って、逃げ道をふさぐ。
なにも言葉を返せない私に、彼は承諾したと捉えることにしたらしい。私の体をくるりと反転させて、「風呂に入っておいで」と背中を優しく押した。
「ど、どようしよう……」
広々とした浴室で、立ち尽くす。
普段からべったりされているのだし、一緒のベッドで眠るのもそれと大差ない気はする。
だけど……と、顔を両手で覆う。
やっぱり〝ベッドの中で〟べったりするのはわけが違う。
いろいろと想像しかけて、そうじゃないと慌てて首を左右に振った。
ベッドがひとつだというだけで、くっついて寝るなんて誰も言っていない。これでは私の方がなにかを期待しているように見えてしまう。
今夜は適切な距離で、ふたり並んで眠るだけ。絶対にそれだけだと、必死に自分に言い聞かせる。
お湯につかっていると少しずつ落ち着きを取り戻し、現実が見えてきた。
糸貫庵が無事に再出発をするのを見届けるまで、ふたりの間に子どもを作らない。それは、結婚する条件だった。
もちろん彼は、約束をずっと守ってくれている。ただし過剰なスキンシップはあるけれどと、付け加えておく。
彼には楢村さんがいるんだから、私と一線を越えるつもりはないはず。
「考えすぎだわ」
一緒に眠るくらいで大きく動揺するなんて情けない。なにも起こるはずがないじゃないと強引に納得して、ようやく体を洗い始めた。
「え?」
ふらりと、寝室へ近づく。
中には、大きなベッドがひとつだけ置かれていた。
「わ、私はソファ……」
背後に立った光毅さんが私の肩を抱くから、驚いて口をつぐむ。
「夫婦だから、かまわないだろ?」
身を屈めて耳もとでささやかれて、ぶるっと体を震わせた。
自分はソファーで寝ると言おうとした私を遮って、逃げ道をふさぐ。
なにも言葉を返せない私に、彼は承諾したと捉えることにしたらしい。私の体をくるりと反転させて、「風呂に入っておいで」と背中を優しく押した。
「ど、どようしよう……」
広々とした浴室で、立ち尽くす。
普段からべったりされているのだし、一緒のベッドで眠るのもそれと大差ない気はする。
だけど……と、顔を両手で覆う。
やっぱり〝ベッドの中で〟べったりするのはわけが違う。
いろいろと想像しかけて、そうじゃないと慌てて首を左右に振った。
ベッドがひとつだというだけで、くっついて寝るなんて誰も言っていない。これでは私の方がなにかを期待しているように見えてしまう。
今夜は適切な距離で、ふたり並んで眠るだけ。絶対にそれだけだと、必死に自分に言い聞かせる。
お湯につかっていると少しずつ落ち着きを取り戻し、現実が見えてきた。
糸貫庵が無事に再出発をするのを見届けるまで、ふたりの間に子どもを作らない。それは、結婚する条件だった。
もちろん彼は、約束をずっと守ってくれている。ただし過剰なスキンシップはあるけれどと、付け加えておく。
彼には楢村さんがいるんだから、私と一線を越えるつもりはないはず。
「考えすぎだわ」
一緒に眠るくらいで大きく動揺するなんて情けない。なにも起こるはずがないじゃないと強引に納得して、ようやく体を洗い始めた。