黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
実家から少し手前にある終点でバスを降りる。
「よし」
これは帰省ではなく、今日から私はここでの生活をスタートさせる。そんなふうに気持ちを新たにして歩きだした。
その途中にある土産物屋の前で、店主と話をするスーツ姿の男性に気づいた。彼の隣には女性が付き従うように立っている。
男性の方は高長身の大和よりもさらに背が高そうで、私が横に並んだら見上げなくては顔が見えないだろう。整った容姿ではあるものの目もとは鋭く、薄い唇は冷酷な印象を与える。
隣の女性は、胸もとがふくよかなのに対して腰はキュッと引き締まった抜群のスタイルをしている。目鼻立ちがはっきりとした美人で、弧を描く少し厚めの唇は大人の女性の色気に溢れている。
お似合いだと呑気に思っていたところ、話し込んでいた店主が私に気がついた。
「依都ちゃんじゃないか。今日は休みかい?」
幼少期から知っている父親世代の彼は、再開発に反対する人物のひとりだ。
「こんにちは。そうなんです」
実際には仕事を辞めて帰ってきたのだけれど、ここで事実を明かす必要はない。なにか大事な話をしているだろう彼らの邪魔になってはいけないと、歩みを完全には止めず会話を端的に済ませた。
「よし」
これは帰省ではなく、今日から私はここでの生活をスタートさせる。そんなふうに気持ちを新たにして歩きだした。
その途中にある土産物屋の前で、店主と話をするスーツ姿の男性に気づいた。彼の隣には女性が付き従うように立っている。
男性の方は高長身の大和よりもさらに背が高そうで、私が横に並んだら見上げなくては顔が見えないだろう。整った容姿ではあるものの目もとは鋭く、薄い唇は冷酷な印象を与える。
隣の女性は、胸もとがふくよかなのに対して腰はキュッと引き締まった抜群のスタイルをしている。目鼻立ちがはっきりとした美人で、弧を描く少し厚めの唇は大人の女性の色気に溢れている。
お似合いだと呑気に思っていたところ、話し込んでいた店主が私に気がついた。
「依都ちゃんじゃないか。今日は休みかい?」
幼少期から知っている父親世代の彼は、再開発に反対する人物のひとりだ。
「こんにちは。そうなんです」
実際には仕事を辞めて帰ってきたのだけれど、ここで事実を明かす必要はない。なにか大事な話をしているだろう彼らの邪魔になってはいけないと、歩みを完全には止めず会話を端的に済ませた。