黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
お盆は私が持って、光毅さんの待つ居間に入る。お茶を並べ終えると、彼の隣に腰を下ろした。
「で、お姉ちゃん。新婚生活はどう?」
間髪を容れずに切りだした由奈に、思わず口に含んだお茶を吹き出しそうになる。そこをなんとか耐えて、ゴクリと飲み込んだ。
光毅さんもいる今この場でそれを聞くのかと、チラッと隣を見る。目が合った彼は、なぜか楽しそうに私を見返してきた。
「仲はよさそう。うん、安心した」
どこでそう判断した?と、パッと妹の方を向く。
「ふ、普通よ、普通」
「はいはい。照れちゃって。で、実際のところはどうなの?」
由奈の瞳がますます輝く。
着物を着て旅館に立っているときは凛としている彼女だが、プライベートでは年相応の振る舞いになる。今は家族としての時間だと切り替えているようで、まったく遠慮がない。
「よ、他所と変わりないから」
自分で言っておきながら、他所って誰のところだと突っ込みたくなる。どう変わりないのか、標準もわかっていない。
「もう! つまんない。詳しく聞きたいのに」
彼女はなかなか答えない私に焦れて、隣の光毅さんへ視線を向けた。
「依都は恥ずかしがり屋だから」
光毅さんも、この場でビジネスモードは見せない。本性は隠したままだが、口調は砕けている。
「まあ、仕方ないか。お姉ちゃんったら、これまで彼氏がいたことなかったもんね」
「そ、そんな話、ここでばらさなくてもいいじゃない!」
「それを聞いてほっとしたよ。無駄に嫉妬しなくても済みそうだ」
口を挟んだ光毅さんの方を、勢いよく向く。
心にもないことを平然と言ってのけた彼は、それはそれは健やかな笑みを浮かべながらサラリと私の髪をなでた。
たいした演技力だと思う。心は伴っていないと思うと胸がチクリと痛んだが、気づかないふりをした。
「で、お姉ちゃん。新婚生活はどう?」
間髪を容れずに切りだした由奈に、思わず口に含んだお茶を吹き出しそうになる。そこをなんとか耐えて、ゴクリと飲み込んだ。
光毅さんもいる今この場でそれを聞くのかと、チラッと隣を見る。目が合った彼は、なぜか楽しそうに私を見返してきた。
「仲はよさそう。うん、安心した」
どこでそう判断した?と、パッと妹の方を向く。
「ふ、普通よ、普通」
「はいはい。照れちゃって。で、実際のところはどうなの?」
由奈の瞳がますます輝く。
着物を着て旅館に立っているときは凛としている彼女だが、プライベートでは年相応の振る舞いになる。今は家族としての時間だと切り替えているようで、まったく遠慮がない。
「よ、他所と変わりないから」
自分で言っておきながら、他所って誰のところだと突っ込みたくなる。どう変わりないのか、標準もわかっていない。
「もう! つまんない。詳しく聞きたいのに」
彼女はなかなか答えない私に焦れて、隣の光毅さんへ視線を向けた。
「依都は恥ずかしがり屋だから」
光毅さんも、この場でビジネスモードは見せない。本性は隠したままだが、口調は砕けている。
「まあ、仕方ないか。お姉ちゃんったら、これまで彼氏がいたことなかったもんね」
「そ、そんな話、ここでばらさなくてもいいじゃない!」
「それを聞いてほっとしたよ。無駄に嫉妬しなくても済みそうだ」
口を挟んだ光毅さんの方を、勢いよく向く。
心にもないことを平然と言ってのけた彼は、それはそれは健やかな笑みを浮かべながらサラリと私の髪をなでた。
たいした演技力だと思う。心は伴っていないと思うと胸がチクリと痛んだが、気づかないふりをした。