黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
翌朝になり、出発の準備をする。
そろそろ迎えが来る頃だろうかと待っていると、来客を告げるチャイムが鳴った。
タクシーならてっきり電話がかかってくると思っていたけれど?と首を捻りながら、インターフォンで対応する。
「楢村さん?」
モニターに映し出されたのは、光毅さんの秘書の楢村さんだった。
「……はい」
無視するわけにはいかず応答する。
「おはようございます。社長の秘書の楢村です。今日は私が奥様を空港までお送りすることになりましたので、よろしくお願いします」
まさか彼女に頼んでいるとは知らず、困惑を隠せない。
ふたりの関係性を知っている私にとっては、彼も楢村さんもどういう神経をしているのかと眉をひそめたくなる。
でも、ここでごねても仕方がないと部屋を出た。
「おはようございます。荷物はお預かりするので、どうぞお乗りください」
にこやかな表情で私を待っていた楢村さんに、疑問符が浮かぶ。彼女にとって私は憎い相手のはずなのにと、内心で首を傾げた。
「あ、ありがとうございます」
どんな調子で応えればいいのか、よくわからない。とりあえず、テキパキと動く彼女には負の感情を見られなかった。
飛行機の時間もあるため、素直に従って後部差座席に乗り込んだ。
「あらためまして。社長の秘書を務めています、楢村です」
「よろしくお願いします」
自分を妻だと名乗る勇気はなく、言葉少ない返しになる。それで彼女が気分を害した様子はなくて、密かに安堵した。
そろそろ迎えが来る頃だろうかと待っていると、来客を告げるチャイムが鳴った。
タクシーならてっきり電話がかかってくると思っていたけれど?と首を捻りながら、インターフォンで対応する。
「楢村さん?」
モニターに映し出されたのは、光毅さんの秘書の楢村さんだった。
「……はい」
無視するわけにはいかず応答する。
「おはようございます。社長の秘書の楢村です。今日は私が奥様を空港までお送りすることになりましたので、よろしくお願いします」
まさか彼女に頼んでいるとは知らず、困惑を隠せない。
ふたりの関係性を知っている私にとっては、彼も楢村さんもどういう神経をしているのかと眉をひそめたくなる。
でも、ここでごねても仕方がないと部屋を出た。
「おはようございます。荷物はお預かりするので、どうぞお乗りください」
にこやかな表情で私を待っていた楢村さんに、疑問符が浮かぶ。彼女にとって私は憎い相手のはずなのにと、内心で首を傾げた。
「あ、ありがとうございます」
どんな調子で応えればいいのか、よくわからない。とりあえず、テキパキと動く彼女には負の感情を見られなかった。
飛行機の時間もあるため、素直に従って後部差座席に乗り込んだ。
「あらためまして。社長の秘書を務めています、楢村です」
「よろしくお願いします」
自分を妻だと名乗る勇気はなく、言葉少ない返しになる。それで彼女が気分を害した様子はなくて、密かに安堵した。