黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「えっと、その……」

「そろそろ観念しろ」

 でも、だってと繰り返す私に、光毅さんが耳もとでささやく。

「愛してるんだ、依都。もう我慢の限界」

 なにを我慢しているのかなんて、絶対に聞いてはいけないくらい私でもわかった。

「じゃ、じゃあ、一緒に寝ます?」

 まずは寝室を一緒にするところから始めようと足掻く私に、光毅さんが悪い笑みを浮かべる。

「へえ。依都の方からベッドに誘ってくれるなんて、光栄だな」

「ベッド!? いやっ、ち、ちが――」

 とんでもない勘違いだという私の主張は、当然のように遮られる。

「ひとつのベッドで一緒に眠るのも、もう経験済みだろ? お互いの気持ちも確認したし、なにも問題はない」

 きっぱりと言いきられる。
 反論の余地を探るも、もうなにも見つけられそうになかった。

「依都」

 甘さの滲む声音で呼ばれて、ドクリと鼓動が跳ねる。

「依都がほしい」

 私が素直に応えられないのは、経験がないから怖いとか恥ずかしいとか。
 でも気持ちを通わせた間柄なら、いずれは深い仲になるのは当然で……と、その先を想像して、ぼっと体が熱くなる。
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