黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
彼の温もりが心地よくて、さらに引き寄せようと光毅さんの背に腕を回す。こうしているだけでも十分に幸せだけど、次第に物足りなくなってくる。

 激しく打ちつけていた鼓動が落ち着いてきた頃、光毅さんがゆっくりと動き始めた。
 痛みこそほとんどなかったものの、気持ちがいいわけでもなく、よくわからないままその行為を受け入れる。

「あっ……ん……」

 そのうちに小さな快感を拾いはじめ、勝手に声が漏れる。
 把握されていた私のいい場所を刺激されると、そのたびに体が大きく跳ねた。

 次第に彼の動きも激しさを増し、肌を打ちつけ合う音が響く。

「も、もう……」

 さっきとは比べ物にならないほど大きな快楽の波に、恐怖と期待が膨らむ。
 限界がすぐそこまで迫り、彼の肩に添えていた指先にぐっと力が入った。

「依都」

 私の名前を何度も呼びながら、追い込むように激しく腰を打ちつけてくる。
 返事など返す余裕はなく、ひたすらあえぎ声を漏らし続けた。

 そうしてひときわ大きく悲鳴のような嬌声をあげ、弾けた快楽の渦に身を任せる。同時に彼も動きを止めて、私をその腕の中に抱きしめた。

 汗ばんだ肌が、行為の激しさを物語っている。初めての経験に疲労感が大きくて、次第に瞼が下がっていった。

「愛してる」

 耳もとで聞こえたささやき声に、自然と口角が上がる。私も同じように返したいのに、急激な眠気に襲われて上手く言葉にならない。
 もっと彼を感じていたい。溢れる気持ちを抑えられず、無意識にその胸もとに擦り寄った。


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