黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
* * *
「はあ……、依都。せっかくの休日なんだ。このままふたりで旅行にでも行こうか」
「往生際が悪いですよ、光毅さん」
いかにも気が進まない様子の光毅さんの腕を引いて、外へ出る。
「ほら。観念して行きましょう」
彼と身も心も結ばれてから一カ月近くが経つ。あれから光毅さんは『もう遠慮はいらないな』と言って、私に対してさらに甘さを増した。
『あれで遠慮してたの!?』という私の絶叫は『そうだが』のひと言で流され、連日のように濃密な夜を過ごしている。
休日の今日。彼とふたりでやってきたのは、カジュアルなレストランだ。
「兄さん!」
個室の扉を開けた同時に、立ち上がった男性が駆け寄ってきた。
「久しぶりだね、兄さん。あっ、そちらが依都さん? 初めまして。弟の斗真です」
「は、初めまして」
初っ端から彼の勢いに押されて、顔が引きつりそうになる。
チラリと光毅さんを見上げると、うれしいような苦々しいような複雑な顔をしていた。
「ほら、早く座ってよ」
「お前が飛びつくような勢いで来るから、立ち止まったんだろ」
なんだか、よく懐いた大型犬のような人だ。光毅さんのことが大好きだという気持ちは、対面直後から伝わっている。
『斗真は幼少期からずっと、俺に憧れているんだ』とは、光毅さんの言葉だ。
弟の斗真さんの年齢は、彼より四歳下の二十九歳。その年齢差から想像するに、幼少期は光毅さんに着いて回っていたのだろう。
幼いころから、なんでも卒なくこなしていそうな光毅さんのこと。そんな兄が、斗真さんにはカッコいいヒーローのように見えていたのかもしれない。
どんな兄弟関係なのだと話に聞くだけではイメージできないでいたが、実際に目にしてわかった気がする。
「はあ……、依都。せっかくの休日なんだ。このままふたりで旅行にでも行こうか」
「往生際が悪いですよ、光毅さん」
いかにも気が進まない様子の光毅さんの腕を引いて、外へ出る。
「ほら。観念して行きましょう」
彼と身も心も結ばれてから一カ月近くが経つ。あれから光毅さんは『もう遠慮はいらないな』と言って、私に対してさらに甘さを増した。
『あれで遠慮してたの!?』という私の絶叫は『そうだが』のひと言で流され、連日のように濃密な夜を過ごしている。
休日の今日。彼とふたりでやってきたのは、カジュアルなレストランだ。
「兄さん!」
個室の扉を開けた同時に、立ち上がった男性が駆け寄ってきた。
「久しぶりだね、兄さん。あっ、そちらが依都さん? 初めまして。弟の斗真です」
「は、初めまして」
初っ端から彼の勢いに押されて、顔が引きつりそうになる。
チラリと光毅さんを見上げると、うれしいような苦々しいような複雑な顔をしていた。
「ほら、早く座ってよ」
「お前が飛びつくような勢いで来るから、立ち止まったんだろ」
なんだか、よく懐いた大型犬のような人だ。光毅さんのことが大好きだという気持ちは、対面直後から伝わっている。
『斗真は幼少期からずっと、俺に憧れているんだ』とは、光毅さんの言葉だ。
弟の斗真さんの年齢は、彼より四歳下の二十九歳。その年齢差から想像するに、幼少期は光毅さんに着いて回っていたのだろう。
幼いころから、なんでも卒なくこなしていそうな光毅さんのこと。そんな兄が、斗真さんにはカッコいいヒーローのように見えていたのかもしれない。
どんな兄弟関係なのだと話に聞くだけではイメージできないでいたが、実際に目にしてわかった気がする。