黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
 それから、兄弟はお互いの近況を報告し合った。

「来年、国内勤務に戻るタイミングで、美咲と結婚することになった」

 ふたりの結婚は、最初から斗真さんが帰国したらと決まっていたようだ。その時期が当初ははっきりとしていなかった。

「やっとだ」

「ええ」

 そう言って見つめ合ったふたりは、幸せそうな笑みを浮かべた。

「そこでなんだけど、兄さん」

 不意に、斗真さんがこちらに向き直る。

「兄さんと依都さんって、まだ結婚式を挙げていないだろ? どうせなら、二組一緒に挙げちゃうってどう?」

 瞳をキラキラと輝かせる斗真さんに、疑問符しか浮かばない。一緒に披露宴ってなに?と、困惑するばかりだ。
 彼の期待を込めた視線に、光毅さんが絶対零度の視線を向ける。

「するわけがないだろ」

「なんだ、残念」

 それほど本気ではなかったのか、食い下がりはしなかった。

 食事をしながら会話を楽しみ、二時間ほどしたところで席を立つ。

「来年から、兄さんの下で働けることを楽しみにしている」

「ああ。そのときはこき使ってやるから」

 なんだかんだ言いつつ、ここまで慕ってくれる弟がかわいくて仕方がないのだろう。斗真さんに向けて目を細めた光毅さんから、そんな心情が伝わってきた。
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