黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「誠実なだけじゃ……ない?」
たしかに紳士に見えたけれどと、穏やかな表情で会話をしている彼の横顔を見る。
会話の中で棘を感じたのは気のせいか。
宇和島リゾートにとって、所詮私たちの存在は厄介でしかない。お金を積んでもなかなかうなずかないのだから当たり前だ。いくら彼ができた人だったとしても、苛立ちを隠しきれなかったのかもしれない。
今は低姿勢でいるが、私たちが賛成に回った途端に彼は手のひらを返すのだろうか。
彼らにだって時間的なリミットはあるはずで、少しでも早く事を進めたいのは当然だ。
だからといって、私たちを切り捨てるにはデメリットもある。予定した通りにエリアを拡大できなければ、温泉街全体で受け入れられる観光客の数も減ってしまう。
それに昔のままを残した光景は、賑やかで煌びやかな新しい空間を楽しんでいる人の目にはマイナスに映りかねない。宇和島リゾートとしては、なんとしても私たちを納得させたところだろう。
考えることはたくさんある。それに、不安要素が多すぎる。
おそらく由奈も、こうしてさんざん頭を悩ませていたのだろう。
妹にばかり、いろいろと背負わせてしまって申し訳なくなる。これからは自分も一緒に糸貫庵を守っていくのだと誓いながら、立ち話を続ける宇和島さんから視線を外した。
たしかに紳士に見えたけれどと、穏やかな表情で会話をしている彼の横顔を見る。
会話の中で棘を感じたのは気のせいか。
宇和島リゾートにとって、所詮私たちの存在は厄介でしかない。お金を積んでもなかなかうなずかないのだから当たり前だ。いくら彼ができた人だったとしても、苛立ちを隠しきれなかったのかもしれない。
今は低姿勢でいるが、私たちが賛成に回った途端に彼は手のひらを返すのだろうか。
彼らにだって時間的なリミットはあるはずで、少しでも早く事を進めたいのは当然だ。
だからといって、私たちを切り捨てるにはデメリットもある。予定した通りにエリアを拡大できなければ、温泉街全体で受け入れられる観光客の数も減ってしまう。
それに昔のままを残した光景は、賑やかで煌びやかな新しい空間を楽しんでいる人の目にはマイナスに映りかねない。宇和島リゾートとしては、なんとしても私たちを納得させたところだろう。
考えることはたくさんある。それに、不安要素が多すぎる。
おそらく由奈も、こうしてさんざん頭を悩ませていたのだろう。
妹にばかり、いろいろと背負わせてしまって申し訳なくなる。これからは自分も一緒に糸貫庵を守っていくのだと誓いながら、立ち話を続ける宇和島さんから視線を外した。