黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「依都さんはどうして実家を出られたのか、詳しい話をお聞きしても?」
しばらくして、宇和島さんが尋ねてくる。
べつに隠すような話でもないため、自分が都心に出た理由やこうして戻って来るまでを語って聞かせる。
「妹の由奈を思っての決断が、結果的に彼女ばかりに大きな負担をかけてしまったんです。それが心苦しくて。もともと、いつかは地元に戻ってくると決めていたのですが、それが今じゃないかと」
「仲の良い姉妹なんですね。そういえば、さっきの彼はごきょうだいではないんですよね? たしか、糸貫庵の料理人だったと記憶していますが」
「ああ、大和ですね」
この人は大和のことも正確に把握しているのだと、その情報量の多さに感心する。
「彼は幼馴染なんです。私たち姉妹は早くに両親を亡くしているんですが、彼のお母さんが大和と一緒に実の娘ようにかわいがってくれて。だから大和とは、子どもの頃からの付き合いになるんですよ」
「そうでしたか」
わずかな沈黙ののちに、宇和島さんが再び口を開く。
「残念ながら、私はあなたにとって憎い敵といったところでしょうか」
あまりにストレートな物言いに驚いて、宇和島さんの方を振り向く。
「いいえ。そんなふうには考えていません」
それは誤解だと、見えていないかもしれないが首を左右に振った。
たしかに彼は、糸貫庵を残したいと言う私たちの願いを阻む存在だ。だからといって、憎いとまでは感じていない。
しばらくして、宇和島さんが尋ねてくる。
べつに隠すような話でもないため、自分が都心に出た理由やこうして戻って来るまでを語って聞かせる。
「妹の由奈を思っての決断が、結果的に彼女ばかりに大きな負担をかけてしまったんです。それが心苦しくて。もともと、いつかは地元に戻ってくると決めていたのですが、それが今じゃないかと」
「仲の良い姉妹なんですね。そういえば、さっきの彼はごきょうだいではないんですよね? たしか、糸貫庵の料理人だったと記憶していますが」
「ああ、大和ですね」
この人は大和のことも正確に把握しているのだと、その情報量の多さに感心する。
「彼は幼馴染なんです。私たち姉妹は早くに両親を亡くしているんですが、彼のお母さんが大和と一緒に実の娘ようにかわいがってくれて。だから大和とは、子どもの頃からの付き合いになるんですよ」
「そうでしたか」
わずかな沈黙ののちに、宇和島さんが再び口を開く。
「残念ながら、私はあなたにとって憎い敵といったところでしょうか」
あまりにストレートな物言いに驚いて、宇和島さんの方を振り向く。
「いいえ。そんなふうには考えていません」
それは誤解だと、見えていないかもしれないが首を左右に振った。
たしかに彼は、糸貫庵を残したいと言う私たちの願いを阻む存在だ。だからといって、憎いとまでは感じていない。