黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「それでも、絆されるわけにはいかないんですけどね。私は糸貫庵を守りたいので」
なんだか彼との会話が心地よくなってきて、砕けた雰囲気になる。
「なんだ、残念。攻略されてくれてもよかったんですよ」
彼の方も私の変化を感じ取ったのか、茶化すように返してきた。
それがちょっと意外だったけれど、嫌な気はしない。むしろ楽しくなってきて、緊張はすっかり解れていた。
バスに乗っていると長いと感じていた道のりだが、あっという間に目的地が見えてくる。
「あっ、あの辺りで大丈夫です」
目的のお店を示し、駐車場に車を止めてもらう。
「乗せてくださって、ありがとうございました」
「いいえ。ついででしたので」
シートベルトを外して、鞄を手にする。
「依都さん」
ドアを開けようと思ったタイミングで呼び止められて、背後を振り返った。
「また、お話を聞かせてくださいね」
意見の食い違う同士とは思えない健やかな笑みを向けられる。その素敵さに、じわじわと頬に熱が集まる。
あらためて間近で目にした彼は、本当に整った容姿をしている。一見冷たそうだと感じたが、実際は終始穏やかで思いの外話しやすかった。
彼は敵対する相手だと経過して車に乗り込んだはずなのに、急に異性だったと意識させられる。
「わ、私でよければ、いつでも」
「ぜひ。今日は、ありがとうございました」
あらためてお礼を伝えて車を降りる。
走り去る彼の車が見えなくなるまで、その姿を見送った。
なんだか彼との会話が心地よくなってきて、砕けた雰囲気になる。
「なんだ、残念。攻略されてくれてもよかったんですよ」
彼の方も私の変化を感じ取ったのか、茶化すように返してきた。
それがちょっと意外だったけれど、嫌な気はしない。むしろ楽しくなってきて、緊張はすっかり解れていた。
バスに乗っていると長いと感じていた道のりだが、あっという間に目的地が見えてくる。
「あっ、あの辺りで大丈夫です」
目的のお店を示し、駐車場に車を止めてもらう。
「乗せてくださって、ありがとうございました」
「いいえ。ついででしたので」
シートベルトを外して、鞄を手にする。
「依都さん」
ドアを開けようと思ったタイミングで呼び止められて、背後を振り返った。
「また、お話を聞かせてくださいね」
意見の食い違う同士とは思えない健やかな笑みを向けられる。その素敵さに、じわじわと頬に熱が集まる。
あらためて間近で目にした彼は、本当に整った容姿をしている。一見冷たそうだと感じたが、実際は終始穏やかで思いの外話しやすかった。
彼は敵対する相手だと経過して車に乗り込んだはずなのに、急に異性だったと意識させられる。
「わ、私でよければ、いつでも」
「ぜひ。今日は、ありがとうございました」
あらためてお礼を伝えて車を降りる。
走り去る彼の車が見えなくなるまで、その姿を見送った。