黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「だが、無駄な努力だな」
どういうことかと尋ねかけたが、声になる前にのみ込んで聞き役に徹した。
「どうせここも宇和島の野郎に安く買い叩かれて、べつもんにされちまうんだろうよ。支配人も従業員も、なんの価値もないように放り出される。俺のようにな」
客を相手に、もっと詳しくと尋ね返すわけにはいかない。
けれど〝宇和島〟の名前が出たからには気になり、つい探るような視線を向けた。
「あいつらはなあ、いかにも下手に出ておいて、実際は俺たちのことを見下しるんだよ。俺の店も、そうやって宇和島にとられちまった」
相当酔っているのか、首まで赤くなっている。
でも口調はしっかりしており、彼の話には信憑性があるのかもしれない。
こんなところに放置するわけにもいかないし、本人が動こうとするまで付き合うと決めた。
「なにが地元を大事にする、だ。あの野郎は、俺たちを油断させるために上手いことばかり言いやがって」
かなり恨みを抱いているのか、口調が荒々しい。
「俺のやっていた三代続いた土産物屋も、手放した途端に取り壊されちまった」
ぐびっとビールを煽った彼は、空中を睨むようにして続けた。
「地元を活性化させるとかなんとか言って、立ち退き料もそれなりに弾んだ。けどな、上手い話しにほいほい乗った結果がこのざまだ。再雇用? 契約成立後に、そんな話は一度だってされなかったな」
「え?」
それは、宇和島サイドが約束を反故にしたのか。
この人の語る話は、まさしく今の自分たちが置かれた状況に酷似している。
どういうことかと尋ねかけたが、声になる前にのみ込んで聞き役に徹した。
「どうせここも宇和島の野郎に安く買い叩かれて、べつもんにされちまうんだろうよ。支配人も従業員も、なんの価値もないように放り出される。俺のようにな」
客を相手に、もっと詳しくと尋ね返すわけにはいかない。
けれど〝宇和島〟の名前が出たからには気になり、つい探るような視線を向けた。
「あいつらはなあ、いかにも下手に出ておいて、実際は俺たちのことを見下しるんだよ。俺の店も、そうやって宇和島にとられちまった」
相当酔っているのか、首まで赤くなっている。
でも口調はしっかりしており、彼の話には信憑性があるのかもしれない。
こんなところに放置するわけにもいかないし、本人が動こうとするまで付き合うと決めた。
「なにが地元を大事にする、だ。あの野郎は、俺たちを油断させるために上手いことばかり言いやがって」
かなり恨みを抱いているのか、口調が荒々しい。
「俺のやっていた三代続いた土産物屋も、手放した途端に取り壊されちまった」
ぐびっとビールを煽った彼は、空中を睨むようにして続けた。
「地元を活性化させるとかなんとか言って、立ち退き料もそれなりに弾んだ。けどな、上手い話しにほいほい乗った結果がこのざまだ。再雇用? 契約成立後に、そんな話は一度だってされなかったな」
「え?」
それは、宇和島サイドが約束を反故にしたのか。
この人の語る話は、まさしく今の自分たちが置かれた状況に酷似している。