黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「おばあちゃんは、今後についてどう考えてる?」

 話題を変えたくて、祖母に尋ねる。

 糸貫庵を盛り上げるためにいろいろと考えてきたが、どれもこまごまとしたものばかりだ。私が地元に戻って間もないとはいえ、これといった大きな一手はなにも打てていない。

「……厳しい状況にあるわね」

 黒字経営はいつまで続くのか。今の私はその不安を直視できないまま、どうにかして糸貫庵を残していきたいと足掻いているだけだと自覚はある。

「なにかきっと、打開策があるはず」

 実家に戻ると決めたときほど、胸を張ってそう言いきれないのが怖い。それを認めたくなくて、自分の気持ちから目を逸らした。


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