黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
宇和島さんに指定された日になり、バスで市街地へ向かう。
当初は自宅まで会いに行くと言ってくれていたが、それはお断りした。家族の目があるところではきっと彼は本性を見せてくれないだろうし、場所を変えるにしても温泉街では知った顔ばかりですぐさまあらぬ噂が広まりそうだ。
窓ガラスに頭をもたせかけて、物思いにふける。
私に結婚を申し込んだのは、純粋な愛情からでとはどうしても信じられない。孫との結婚をちらつかせて祖父を懐柔し、糸貫庵を手に入れる。それが彼の一番の目的ではないのか。
うちが賛成に回れば、周辺の土産物屋も飲食店もたちまち経営が立ちいかなくなる。温泉施設がなくなれば、そもそも観光客は来なくなるだろうから。
糸貫庵さえ落とせばいい。彼のそんな思惑が見えてくる。
電車を乗り継いて、都心を目指す。目的地に近づくにつれて、電車内は混雑を増していった。
祖父に続いて、周辺の多くの住民が賛成に回った後はどうなるのだろうか。
私をその気にさせておいて、あの辺りの土地が手に入った途端に結婚はなかったことにされるのかもしれない。もちろん、糸貫庵の名前や建物を残す提案も怪しいものだ。
それではまるで詐欺のようだが、口約束しかしていなければ問題になりようがない。あちらは国内大手の会社だ。こちらが騒ぎ立てたとしても、もみ消されるだけだろう。
そんなマイナスな考えばかりが浮かんでは消え、同時に不意に見せた祖父母のほっとしたような顔も思い出してしまう。
彼が本当に信頼に足る人物なのか。その見極めをきっちりとして、こちらが割を食うことがないようにしなければならない。
当初は自宅まで会いに行くと言ってくれていたが、それはお断りした。家族の目があるところではきっと彼は本性を見せてくれないだろうし、場所を変えるにしても温泉街では知った顔ばかりですぐさまあらぬ噂が広まりそうだ。
窓ガラスに頭をもたせかけて、物思いにふける。
私に結婚を申し込んだのは、純粋な愛情からでとはどうしても信じられない。孫との結婚をちらつかせて祖父を懐柔し、糸貫庵を手に入れる。それが彼の一番の目的ではないのか。
うちが賛成に回れば、周辺の土産物屋も飲食店もたちまち経営が立ちいかなくなる。温泉施設がなくなれば、そもそも観光客は来なくなるだろうから。
糸貫庵さえ落とせばいい。彼のそんな思惑が見えてくる。
電車を乗り継いて、都心を目指す。目的地に近づくにつれて、電車内は混雑を増していった。
祖父に続いて、周辺の多くの住民が賛成に回った後はどうなるのだろうか。
私をその気にさせておいて、あの辺りの土地が手に入った途端に結婚はなかったことにされるのかもしれない。もちろん、糸貫庵の名前や建物を残す提案も怪しいものだ。
それではまるで詐欺のようだが、口約束しかしていなければ問題になりようがない。あちらは国内大手の会社だ。こちらが騒ぎ立てたとしても、もみ消されるだけだろう。
そんなマイナスな考えばかりが浮かんでは消え、同時に不意に見せた祖父母のほっとしたような顔も思い出してしまう。
彼が本当に信頼に足る人物なのか。その見極めをきっちりとして、こちらが割を食うことがないようにしなければならない。