黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
 たくさんの言葉で尽くして相場を下回らない金を積むと、一時は相手も納得する。

 けれど時間が経つとともに、郷愁だとか望郷だとか心に蘇るものがあるのだろう。様変わりした地元を目にすれば、後悔の念すら抱くのかもしれない。

 その結果、再開発の先頭に立っていた俺は悪となる。

 が、歩みを止めるわけにはいかない。
 新しく建設したものの中には、遊園地や動物園など国内のどこにでも存在する施設もある。
 行ってみようと思うきっかけは、そんなありふれたレジャーでもかまわない。とにかく、幅広い年齢層の興味を引くことが目的だ。

 もちろんその地域ならではの特色も同時に示していくが、まずは来てもらわないことには話にならない。そのために魅力のあるレジャーが必要だと様々な場面で主張してきたし、すでに複数の成功例があるのだから迷いはない。

 今かかりきりになっている寂れた温泉街も、説得に苦戦している状況だ。
 一部では計画通りすでに工事を開始しているが、手こずっているエリアはかなり遅れが出ている。どうにかスピードを上げなければ、計画の大幅な見直しを余儀なくされる。

 再開発にかけた金額を考えると、予定よりエリアを縮小するのは避けたい。規模が縮小されれば、それだけ受け入れられる数が減り痛手となる。あきらめる判断は、ギリギリまで待つつもりだ。
< 74 / 178 >

この作品をシェア

pagetop