黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
まだドクドクとうるさい胸もとをぐっと押さえながら、よたよたとベッドに近づいて腰を下ろす。
私たちの結婚は思惑あってのもの。
光毅さんは私を心底好きだというような振る舞いをしているが、そこに気持ちはない。所詮演技だ。
彼にとってこの結婚は、糸貫庵の支配人である祖父を陥落させるための作戦にすぎないのだから。
私たちは約束通り寝室を別にしいているし、もちろん一線を超えていない。
だから楢村さんに対して後ろめたさはない……とは言いきれないところが心苦しい。
抱きしめたり髪や顔に口づけられたり、これらは彼女に対する裏切りにならないのか。
浮気の線引きはどこにあるのかと悩みかけて、いやいや私たちは一応夫婦だったと我に返る。
楢村さんについて、光毅さんに尋ねてみようか何度も考えたが、一歩が踏み出せない。それに私から女性関係は自由にしてくれてかまわないと暗に伝えてあるから、詮索するような真似はしたくなかった。
一緒に暮らし始めてまだ一週間。
今のところ彼は、仕事を終えれば真っすぐに帰宅しているようだ。残業する日もあったが、女性物の香水のにおいをがしたり、石鹸の香りがしたりなんて疑わしさはいっさいない。
とはいえ、楢村さんは彼の秘書だ。常にではないかもしれないものの一緒にいる時間はそれなりに長いと、ふたりでよく地元の視察に来ていた姿からも想像に容易い。
休憩時間を利用して、彼女と恋人としての時間を過ごしているのだろうか。私にしている以上に、甘く密に……と想像しかけたところで、チクリと胸が痛んだ。
私たちの結婚は思惑あってのもの。
光毅さんは私を心底好きだというような振る舞いをしているが、そこに気持ちはない。所詮演技だ。
彼にとってこの結婚は、糸貫庵の支配人である祖父を陥落させるための作戦にすぎないのだから。
私たちは約束通り寝室を別にしいているし、もちろん一線を超えていない。
だから楢村さんに対して後ろめたさはない……とは言いきれないところが心苦しい。
抱きしめたり髪や顔に口づけられたり、これらは彼女に対する裏切りにならないのか。
浮気の線引きはどこにあるのかと悩みかけて、いやいや私たちは一応夫婦だったと我に返る。
楢村さんについて、光毅さんに尋ねてみようか何度も考えたが、一歩が踏み出せない。それに私から女性関係は自由にしてくれてかまわないと暗に伝えてあるから、詮索するような真似はしたくなかった。
一緒に暮らし始めてまだ一週間。
今のところ彼は、仕事を終えれば真っすぐに帰宅しているようだ。残業する日もあったが、女性物の香水のにおいをがしたり、石鹸の香りがしたりなんて疑わしさはいっさいない。
とはいえ、楢村さんは彼の秘書だ。常にではないかもしれないものの一緒にいる時間はそれなりに長いと、ふたりでよく地元の視察に来ていた姿からも想像に容易い。
休憩時間を利用して、彼女と恋人としての時間を過ごしているのだろうか。私にしている以上に、甘く密に……と想像しかけたところで、チクリと胸が痛んだ。