黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
「光毅さんは、抱きしめたり口づけたり、誰にでもできちゃうのかな」
髪や額、頬や鼻なんかに口づけるのは、軽いスキンシップのうちなのだろうか。あまりにも彼が甘く接するから、私を好きなのかと勘違いしそうだ。
これほど急に距離を詰められたら、どうしたって高貴さんを気にするようになる。
まずい傾向だと自覚している。見た目が整った男性に毎日のように迫られ続けるなんて苦行だ。私はいつまでそれに太刀打ちできるのだろう。
想いがなくても体を重ねられる人がいるのは知っている。考えたくないが、彼も多数の相手と一時の熱い時間を楽しんできたのかもしれない。
手慣れているからこそ、気持ちのない私が相手でもあれほど自然に甘くできるのだろうか。
このマンションへ連れて来られて以来、そんなことばかりぐちゃぐちゃと考えてしまう。
私に対する振る舞いは、光毅さんにとっては糸貫庵とその周辺を手に入れるための手段にすぎないなのに。
光毅さんは私との結婚が決まるとすぐに、祖父らと糸貫庵に関して話し合いを始めた。よほど時間的に迫られていたのだろう。
そこには次代の女将として働いていた由奈も参加していたし、約束が本当に履行されるのかを見届けるために私も末席で見守らせてもらった。もちろん私は、いっさいの口出しはしない。
彼が求婚に来た時点で聞いていたから、祖父母も心積もりをしていたのだろう。内容を多少修正はしているものの、おおむね光毅さんが提案した通りの条件を受け入れている。
詳細はこれからだが、祖父は糸貫庵を手放す決意をした。
由奈は、糸貫庵が残せるのなら自分のことはどうなってもかまわないと話している。
でも、光毅さんの方から『新しく生まれ変わった糸貫庵を、由奈さんが中心になって支えてほしい』と要請すると、彼女は一瞬うれしそうな顔を見せた。
大丈夫。私の選択は間違っていない。由奈の反応は、私にそう思わせてくれた。
髪や額、頬や鼻なんかに口づけるのは、軽いスキンシップのうちなのだろうか。あまりにも彼が甘く接するから、私を好きなのかと勘違いしそうだ。
これほど急に距離を詰められたら、どうしたって高貴さんを気にするようになる。
まずい傾向だと自覚している。見た目が整った男性に毎日のように迫られ続けるなんて苦行だ。私はいつまでそれに太刀打ちできるのだろう。
想いがなくても体を重ねられる人がいるのは知っている。考えたくないが、彼も多数の相手と一時の熱い時間を楽しんできたのかもしれない。
手慣れているからこそ、気持ちのない私が相手でもあれほど自然に甘くできるのだろうか。
このマンションへ連れて来られて以来、そんなことばかりぐちゃぐちゃと考えてしまう。
私に対する振る舞いは、光毅さんにとっては糸貫庵とその周辺を手に入れるための手段にすぎないなのに。
光毅さんは私との結婚が決まるとすぐに、祖父らと糸貫庵に関して話し合いを始めた。よほど時間的に迫られていたのだろう。
そこには次代の女将として働いていた由奈も参加していたし、約束が本当に履行されるのかを見届けるために私も末席で見守らせてもらった。もちろん私は、いっさいの口出しはしない。
彼が求婚に来た時点で聞いていたから、祖父母も心積もりをしていたのだろう。内容を多少修正はしているものの、おおむね光毅さんが提案した通りの条件を受け入れている。
詳細はこれからだが、祖父は糸貫庵を手放す決意をした。
由奈は、糸貫庵が残せるのなら自分のことはどうなってもかまわないと話している。
でも、光毅さんの方から『新しく生まれ変わった糸貫庵を、由奈さんが中心になって支えてほしい』と要請すると、彼女は一瞬うれしそうな顔を見せた。
大丈夫。私の選択は間違っていない。由奈の反応は、私にそう思わせてくれた。