黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
 週末の早朝に、光毅さんとそろってマンションを出た。
 タクシーで空港に向かい、飛行機に搭乗する。

「目的地は決めているの?」

 ひと息ついたところで、光毅さんに尋ねた。この旅行については、すべて彼任せだ。

「ああ。数年前に宇和島リゾートが再開発を請け負った観光地だ」

「それはデートじゃなくて視察なんじゃ……?」

 不満はないけれど、なにかが違う。お泊りデートだと意識して数日前から妙に緊張していたなんて、なんだか損をした気分だ。

「完全にプライベートでの観光だ。それに俺がどんな仕事をしてきたのか、依都に見せたくて」

「まあ、興味はあるかな」

 べつに、彼との甘いデートを特別楽しみにしていたわけではない。
 むしろ再開発の前例を実際に目にできれば、地元の温泉街の未来にいっそう希望が持てそうだ。

 現地に到着して、彼が手配していたレンタカーで移動する。
 運転する光毅さんの迷いのない様子に、かつてここへも幾度となく足を運んだのだろうと察せられた。

 そうしてやってきたのは、海に面したレジャー施設だ。

「ほら、行くぞ」

 人の多さに驚いて思わず立ち止まった私の手を、さっとつないで散策を始める。

「ここのメインは、アウトレットだ」

 様々なお店が入っており、老若男女問わず楽しめそうだ
 ただ、今や国内にはいくつものアウトレットモールが存在する。あえてここのお店に来る理由はあるのだろうか。
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