黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
連れて来られたのは、再開発の際に彼が誘致したというホテルだ。
「あれ? ここって」
「そうだ。依都の実家の方にも進出する予定のホテルと、同系列になる」
温泉街のシンボルになりそうだと眺めていた宿泊施設のことだ。
辺りがすでに暗くなっていたのもあり、正面に立って見上げたが何階まであるのかよく見えない。ただ、温泉街に建てられるものよりもはるかに高いのはわかる。その理由を、光毅さんが説明してくれた。
「ここは、夜景を楽しめるのも売りのひとつにしているからこの高さになる。だが糸貫庵のあたりは事情が違う。あちらは温泉施設がメインになるし、周囲とのバランスを考えた設計になっている」
「同じ系列のホテルなら全部一緒だと思っていたけど、地域によって違うなんて初めて知った」
どこへ行っても同じものばかりになってしまうと、これまでは建設中のエリアを目にすると苦々しい気持ちになっていた。その土地らしさは失われるのが寂しくて、それも反発心に拍車をかけていたのかもしれない。
「当然だ。そうでなければ、あの土地を訪れる意味がなくなる」
迷いなく言いきる光毅さんに、なんだかほっとした。
この人は、それほど悪い人ではないのかもしれない。
宇和字リゾートの立場では、採算がとれるかどうかを検討するのは当然の話だ。利益だけを追求するのなら、糸貫庵に対してもっと強引なやり方だってできたはず。
でも光毅さんはギリギリまで時間をかけて、両者にとって納得のいく答えを出そうと努力をした。私との結婚は、イレギュラーな話なのだろう。時間が許されるなら、彼はもっと違ったやり方で話を進めていたのかもしれない。
キッチンカーの店主を始め、光毅さんの機転の利いたアドバイスに助けられてきた人もいる。
実際にここへ来て、自分の目と耳で見聞きしたおかげで、わずかとはいえそういった実情が見えてきた。
「あれ? ここって」
「そうだ。依都の実家の方にも進出する予定のホテルと、同系列になる」
温泉街のシンボルになりそうだと眺めていた宿泊施設のことだ。
辺りがすでに暗くなっていたのもあり、正面に立って見上げたが何階まであるのかよく見えない。ただ、温泉街に建てられるものよりもはるかに高いのはわかる。その理由を、光毅さんが説明してくれた。
「ここは、夜景を楽しめるのも売りのひとつにしているからこの高さになる。だが糸貫庵のあたりは事情が違う。あちらは温泉施設がメインになるし、周囲とのバランスを考えた設計になっている」
「同じ系列のホテルなら全部一緒だと思っていたけど、地域によって違うなんて初めて知った」
どこへ行っても同じものばかりになってしまうと、これまでは建設中のエリアを目にすると苦々しい気持ちになっていた。その土地らしさは失われるのが寂しくて、それも反発心に拍車をかけていたのかもしれない。
「当然だ。そうでなければ、あの土地を訪れる意味がなくなる」
迷いなく言いきる光毅さんに、なんだかほっとした。
この人は、それほど悪い人ではないのかもしれない。
宇和字リゾートの立場では、採算がとれるかどうかを検討するのは当然の話だ。利益だけを追求するのなら、糸貫庵に対してもっと強引なやり方だってできたはず。
でも光毅さんはギリギリまで時間をかけて、両者にとって納得のいく答えを出そうと努力をした。私との結婚は、イレギュラーな話なのだろう。時間が許されるなら、彼はもっと違ったやり方で話を進めていたのかもしれない。
キッチンカーの店主を始め、光毅さんの機転の利いたアドバイスに助けられてきた人もいる。
実際にここへ来て、自分の目と耳で見聞きしたおかげで、わずかとはいえそういった実情が見えてきた。