聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「わたし……。もっと、望んでいいの?」
「ああ」
「自分らしく、生きるの……。許される……?」
「俺のそばにいる限りは、誰にも文句は言わせない」
「好きになって、ほしいって……」
「君が望むのなら。いつだって、愛してやる。だから――どこにも行くな。俺には君が、必要だ」
「本当?」
「ここにいろ」

 ――天使はずっと、愛に飢えていた。

 ようやく自身に好意をいだいてくれる存在を見つけて、愛してもらえるかもしれないと期待したのに……。
 フラティウスは妹のものになってしまった。

(クロディオは、あの人とは違う……)

 誰からも恐れられている彼には、女性の影がない。
 ルセメルとは仲がよさそうではあるものの、あくまでそれは主従関係が築かれているだけだ。
 男女の関係には発展しそうにはなかった。

(あんな悲しい結末は、二度と起きない……。そう、信じたいから……)

 天使は瞳の奥底に確かな決意を宿らせると、小さく頷く。

「うん。わかった……」

 こうしてセロンは、背中から生やしていた純白の翼を消失させると――彼の背中に両腕を回して、抱きついた。
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