聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「俺は嫌悪している人間には、手を差し伸べない」
「残忍酷薄な辺境伯、だから……?」
「まぁな」
「そうやって呼ばれるの。嫌だった……?」
「誰にどう思われようが、気にするだけ無駄でしかない。どんな呼び方をされていたとしても、俺の本質は変わらん」

 クロディオは自分を持っているからこそ、時折傲慢にも見える言動をする。
 だからこそ、セロンにとってはとても頼りになる男性として映るのだろう。

(そう思えば、よかったんだ……)

 彼から、聖女天使と呼ばれることに、必要以上に拒否感を抱く必要はないと遠回しに言われた。
 少女は目元を緩めて穏やかな表情で自分を見つめるクロディオへ問いかけた。

「嬉しそうだな」
「うん。心の中。ぽかぽかして、あったかい……。どうして……?」
「俺に、聞くな……」
「駄目だった……?」
「――それはセロン様が旦那様と心を通わせて、幸福感でいっぱいに満たされている証拠ですよ!」

 彼は照れているのだろうか? どこか嫌そうに眉を顰めると、視線を逸す。
 そんな2人の姿を見かね――勢いよく扉を開けて入室してきた侍女が、元気よく天使の疑問に応える。
< 104 / 245 >

この作品をシェア

pagetop