聖女天使を苦しめた国に、天罰を

異母妹の事情(ルイザ)

 ――ルユメール王国の王太子。
 フラティウス・べグリーのハートを射止めるため、16歳のルイザ・バズドントは仮面舞踏会の会場で1人壁の花となり、彼の姿を探していた。

「聖女天使が現れたぞ!」

 そんな中、穏やかではない単語を耳にして眉を顰めた。

(まさか……。あの子がここに、来るわけがないわ……)

 聖女天使と呼ばれる少女に、ルイザには1人だけ心当たりがあった。
 腰まで長い銀色の長髪と、愛くるしい桃色の瞳を持つ、小柄な異母姉――セロン・バズドントだ。

(公の場に姿を見せたら最後。捕らえられて、神殿に監禁されるのがオチですもの……)

 義父によって存在を秘匿された天使は、バズドント伯爵家の地下室で暮らしていた。
 書類上では死産しているため、仮面舞踏会の参加資格など存在しない。

(あの子のほかにも、野良聖女天使がいるなんて……。世も末ね……)

 ルイザが呆れたように肩を竦め、壁に寄りかかった時だった。
 少女の前に目元を仮面で覆い隠した男性が、姿を見せたのは。
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