聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(このチャンスを、逃してなるものですか!)
少女は両手で覆い隠した唇を歪めて意地汚い笑みを浮かべると、心の中で異母姉を褒めた。
(たまにはあの子も、やるじゃない……!)
なんの苦労もせずに王太子のハートを射止めたと知ったルイザは、止めとばかりにわざバランスを崩し――彼の胸元に縋りつくと、瞳を潤ませて自らの名を名乗った。
「あたしは、ルイザ・バズドントと言います。どうか、忘れないで……」
フラティウスの手から髪留めを受け取って頭に身に着けて、すぐさま踵を返す。
その後、人知れずほくそ笑む。
(これで殿下は、あたしのものよ……!)
勝利を確信したルイザは、上機嫌な様子で仮面舞踏会の会場をあとにした。
*
――フラティウスは宣言通り、ルイザを迎えにやってきた。
(チョロいわね……)
妹は内心ほくそ笑みながら、物陰に隠れてこちらの姿を窺う異母姉の姿を盗み見る。
(そうよ! その顔が見たかったの……!)
自由自在に背中へ翼を生やし、癒やしの力を使える聖女天使が――絶望に染まる姿を。
(好かれてるのは自分だって、殿下なら助けてくれるって、信じていたんでしょう? 本当に馬鹿な子! 夢見がちで、まとも教育を受けていないから、こうやって傷つくのよ!)
ルイザはこれみよがしに彼の胸元に頬を寄せると、決意する。
(今日からあたしがあなたの代わりに殿下の寵愛を受ける、野良聖女天使となるの……!)
――こうして妹は異母姉を愛するフラティウスの勘違いに便乗し、喉から手が出るほど欲した王太子の婚約者という地位を手に入れた。
おとぎ話に例えれば、王子様に見初められたお姫様はこれから幸せに暮らすはずだった。
しかし――。
(ようやく殿下が、あたしのものになったのに……!)
残念ながらルイザは、童話のようなハッピーエンドを迎えられなかった。
少女は両手で覆い隠した唇を歪めて意地汚い笑みを浮かべると、心の中で異母姉を褒めた。
(たまにはあの子も、やるじゃない……!)
なんの苦労もせずに王太子のハートを射止めたと知ったルイザは、止めとばかりにわざバランスを崩し――彼の胸元に縋りつくと、瞳を潤ませて自らの名を名乗った。
「あたしは、ルイザ・バズドントと言います。どうか、忘れないで……」
フラティウスの手から髪留めを受け取って頭に身に着けて、すぐさま踵を返す。
その後、人知れずほくそ笑む。
(これで殿下は、あたしのものよ……!)
勝利を確信したルイザは、上機嫌な様子で仮面舞踏会の会場をあとにした。
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――フラティウスは宣言通り、ルイザを迎えにやってきた。
(チョロいわね……)
妹は内心ほくそ笑みながら、物陰に隠れてこちらの姿を窺う異母姉の姿を盗み見る。
(そうよ! その顔が見たかったの……!)
自由自在に背中へ翼を生やし、癒やしの力を使える聖女天使が――絶望に染まる姿を。
(好かれてるのは自分だって、殿下なら助けてくれるって、信じていたんでしょう? 本当に馬鹿な子! 夢見がちで、まとも教育を受けていないから、こうやって傷つくのよ!)
ルイザはこれみよがしに彼の胸元に頬を寄せると、決意する。
(今日からあたしがあなたの代わりに殿下の寵愛を受ける、野良聖女天使となるの……!)
――こうして妹は異母姉を愛するフラティウスの勘違いに便乗し、喉から手が出るほど欲した王太子の婚約者という地位を手に入れた。
おとぎ話に例えれば、王子様に見初められたお姫様はこれから幸せに暮らすはずだった。
しかし――。
(ようやく殿下が、あたしのものになったのに……!)
残念ながらルイザは、童話のようなハッピーエンドを迎えられなかった。