聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『背中に純白の翼を生やした小さな天使は、銀色の長髪を靡かせ――桃色の瞳で残忍酷薄な辺境伯に捕らわれた』
『そのお姿は、あまりにも神々しすぎる……!』
『癒やしの力を使える聖女天使がいれば、俺達は無敵だ!』

 それらの噂が巡り巡って、ロセアガンム王国の元までやってきた結果――フラティウスは少女の保護を申し出た。
 それはルイザにとって、ありがた迷惑でしかない。
 なぜならば――。

(冗談じゃないわ! あの子を匿うなんて……! この噂の聖女天使は、どう考えてもセロンに間違いないもの……!)

 パロニード辺境伯で噂になっている少女こそが、本物の聖女天使だと知っていたからだ。

(もしも、殿下が真実に気づいたら……! あたしは、捨てられるの?)

 ルイザがこうして王太子の婚約者になれたのは、彼が勘違いをしているおかげだった。
 異母姉が再びフラティウスの元に姿を表し、距離を縮めれば――間違いなく、嘘は白日の元に晒されてしまうだろう。

(それだけで、済めばいいけど……。聖女天使を騙った罰として、処刑されてしまうかも……!)

 ルイザは最悪の場合を想定し、唇を噛み締めて歯ぎしりをした。
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