聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「俺は君を、親友だと思ったことなど一度もない」
「え……?」
「お人好しで、純粋。考えたらずの君が、この国を治める良き王となるよう――お祈り申し上げる」
「クロディオ? 一体、何を……!」

 戸惑うフラティウスの声を無視した辺境伯令息は、こうして王太子と決別し――そこから、坂を転がり落ちるようにして不幸に見舞われた。

「もう、付き合ってられぬ! 聖女天使を虐げる国など、滅びるべきだ……!」

 王のやり方に疑問を感じていたパロニード辺境伯はルユメール王国を裏切り、ロセアガンム王国に寝返った。
 当然母国の王は、それを許すはずもなく――長い戦いの末、クロディオの父親は戦死。

「ルユメール王国が聖女天使を、神殿に閉じ込めなければ……」

 辺境伯夫人は夫を亡くしたショックで心を壊し、あとを追うように命を絶った。

(俺が殿下と仲がよければ、母国を裏切らなければ、両親は死なずに済んだのだろうか……)

 1人残されたクロディオは、清々しいほど晴れ渡る空を忌々しそうに見つめ――背中に背負った大剣を手に取る。
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