聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『心の中。ぽかぽかして、あったかい……』

 辺境伯の許可なく領城から抜け出した天使と侍女を連れ戻したクロディオは、愛する少女が嬉しそうに目元を綻ばせた瞬間――ハートを射抜かれた。

(これは、セロンも……。俺に好意をいだいていると考えていいのか……?)

 彼は信じられない気持ちでいっぱいになりながらも、機嫌がよくなるのを止められない。
 膝上に座る小さな身体をいだく手を強めたクロディオは、彼女との会話を楽しんだ。

(夢のようだ……)

 幸せそうに口元を緩め、腕の中で目を閉じて眠る天使の姿は、まるで絵画のように美しく神々しい。
 クロディオは恐る恐るセロンの銀髪に触れると、これが現実だと確認するために優しく撫でつけた。

「旦那様……っ。よかったですね……!」

 そんな2人の姿を目にした侍女が、涙を浮かべて歓喜する一方――。

「ペガガガ……」

 天使と辺境伯が心を通わせるのに、納得のいかない様子を見せるものがいた。
 それは先程、彼女が手懐けたばかりのペガサスだ。
 不気味な鳴き声を上げた神馬は、セロンとクロディオが触れ合っているだけでも苛立ちが隠せないらしい。
 その目は虎視眈々と、彼女を奪い取る機会を窺っていた。
< 122 / 245 >

この作品をシェア

pagetop