聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ペーガァ!」
「お、落ち着いてください! 旦那様は、セロン様の味方ですよ!?」
「ペガッ!」

 セロンを抱きしめた彼に突進していこうとするペガサスを、ルセメルはすぐさま止めようとした。
 しかし――神馬は侍女に身体を触られるのを嫌がる。

(セロンはよくて、俺達が駄目なら……。人間嫌いと考えるべきだろうな……)

 空気を読まないルセメルは、一度拒絶されたくらいではへこたれない。何度か手を伸ばすが、翼で叩かれるのを繰り返す。

「もー! どうして駄目なんですか!? セロン様とは、あんなにも仲良くじゃれ合っていたのに!」

 その場で地団駄を踏みながら悔しがった侍女の叫びを耳にした天使が、クロディオの腕の中で身動ぎをしたからだろう。
 彼は眉を顰めると、静かにルセメルとペガサスに向けて諭す。

「静かにしろ。セロンが起きる」
「ペーガァン……ッ」
「あっ! 駄目ですってば……!」

 それに反発した神馬は、侍女の静止を振り切ってクロディオの元までやってきた。

(セロンの様子が、気になるようだな……)

 ペガサスの瞳は、不安そうに揺れている。
 先程まで苛立ちを隠せない様子で慌てていたのは、本当に寝ているだけなのか判断がつかなかったからなのだろう。
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