聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ペーガァン!」
「旦那様……。今のは、質問が悪いですよ……」
「いや。大体わかった」
「ええっ!? これで、ですか!?」

 主と獣の会話を見かねた侍女が、鳴き声だけではペガサスの言いたいことは伝わらないのではと呆れたような視線を向けた。
 しかしその直後クロディオは小さく頷くと、驚くルセメルを無視して神馬へ向き直り――懇願した。

「俺がほかの人間とは違うと、君が見極めるためにも――時間をくれ」
「ペガ……ッ」
「それが嫌だと言うのなら、仕方あるまい。その翼を毟り取るしかないな……」
「ペーガァン!?」

 辺境伯に脅されたペガサスは、大きな翼を縮めて自らの身体を覆い隠す。そして、全身を震わせて怯えた。
 その姿は、セロンとよく似ていて――。
 愛する天使の姿を思い浮かべた辺境伯は、口元を綻ばせるのを止められない。

「ペーガァ……」

 神馬はクロディオの姿を信じられないものを見るような視線を向けたあと、セロンを取り戻そうとする気も起きなかったようだ。
 先程までの勢いは、どこへやら。
 呆れたような鳴き声を上げたあと、大人しくなった。
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