聖女天使を苦しめた国に、天罰を
 彼らだけを相手にするだけなら造作もないことだった。
 クロディオの根ざす地は、四方八方から攻め入られる戦争が盛んな地だ。
 辺境伯領に聖女天使の聖なる力を求める人々が押しかけ、これから慌ただしくなるのは間違いなかった。

(あの男は一体、何を考えているんだ……?)

 セロンはまだ、気づいていないが――すでにその前触れは、彼の元へと齎されている。
 フラティウス・ベグリーは、セロン宛に手紙を送ってきていた。
 それも、一通だけではない。
 1日24通。彼女に対する愛が一通1行程度ではあるが、びっちりと認められている。

(気味が悪い……)

 中身を確認した彼はそれらをすべてグシャリと丸めて握り潰すと、勢いよく暖炉の中へと投げ込んだ。

(君は絶対に、俺が守る……)

 轟々と燃え盛る炎によって跡形もなく消失した手紙の行方を観察し終えた彼は、セロンの額にかかった前髪を除ける。
 その後、そこを愛おしそうに撫でつけ――優しい口づけを落とすと、つかの間の休息を享受した。
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