聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ルセメルが侍女で、よかった」
「セロン様……! お姿だけではなく心までも清らかなんて! 本当に、とても素敵なお方です……!」
「調子のいい奴だ……」

 侍女は目の奥にハートをちらつかせながら、天使を褒め称えたたえる。
 その様子を目にしたクロディオは、付き合っていられないとばかりに書類へ視線を落とした。

「クロディオと仲良くなれたの。ルセメルのおかげ。褒められるようなこと、してない……」
「私、ですか? いえ。それは、旦那様の――」
「辺境伯! お届け物です!」
「あっ。はーい!」

 侍女の何かをいいかけた言葉は、クロディオの執務室に姿を見せた男性によってすべてが紡がれることなく霧散する。

「クロディオ……?」
「どうした」
「ルセメル、言いかけた。なんだろ……?」

 天使はどうやら、それが気になって仕方がないようだ。
 セロンは不思議そうに、クロディオへ問いかけるが――。

「気にするな」
「いい、の?」
「ああ。ただの、世間話だ」

 クロディオにそう諭された天使は渋々納得すると、手にしていた本に視線を落として文字を読み進める。
 ――そんな中、男性から大量の手紙を受け取ったルセメルが満面の笑みを浮かべて戻ってきた。
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