聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「わたしも、見る」

 しかし――その中に描かれた内容を知っている彼が、それを許すはずもない。

「駄目だ」
「見せて」
「やめておけ」

 神馬が浮かび上がったのを見計らい、セロンは背中に翼を生やしてクロディオの腕の中から飛び出て行こうとする。

(かくなる、上は……)

 このままでは身長差の関係で、手紙の内容を確認できないからだ。

「ペガサス」

 天使の呼びかけを受けたペガサスは、すぐさまクロディオの後方に揺蕩う。

「大人しくしていろ」
「わ……っ」

 腰元に強い力でしがみつかれたセロンは、どれほど浮上したいと願っても彼の腕から抜け出せない。

(翼が……っ)

 純白の翼をバサバサと羽ばたかせれば、自分を好いてくれている彼に怪我をさせてしまう。
 それを恐れた結果、天使は辺境伯に抱きしめられたまま固まった。

「落ち着け。どうせ、まともな内容ではない。直視すれば、目が腐るぞ」
「クロディオも、見ちゃ駄目……」
「俺はいいんだ」
「どう、して……?」
「君を守るために、必要だからだな」

 彼は当然のように屁理屈を並べ立てると、口元を綻ばせて威張った。
 そんなクロディオの姿を目にしたペガサスは、納得がいかなかったのだろう。
 最愛の天使を魔の手から救い出すため、辺境伯にタックルをしかけた。
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