聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『いい加減、セロンを離せ!』
「ペガサス……。もう、いいよ」
『そんな! どうして君は、そんなに物わかりがいいんだ!?』
「いい子じゃないと、傷つけられる……」
『セロン……』
「クロディオは、悪い人じゃない。大丈夫だって、わかってる。でも……」

 意気地になったところで、力では絶対彼には勝てないのだ。
 セロンにはどうすることもできないと悲しそうに眉を伏せれば、後方から天使を咎めるような声が聞こえてきた。

「気を使うなと、言っただろう」
「うん……」
「君は今、どんな気持ちをいだいている」

 クロディオに問いかけられたセロンは、小さな手で胸元を抑え――目を瞑って考える。

「もやもや。ムカムカ……」
「苛立っているんだな。それは俺に対する? それとも、手紙の差出人か」
「わたしのこと、あの人は好きだって言った」
「ええー!? 殿下から、告白されたんですか!?」

 今まで静かに2人のやり取りを聞いていたルセメルが黙っていられないほど、天使の告白は衝撃的だったようだ。

「ルセメル」
「ご、ごめんなさーい……」

 残忍酷薄と呼ばれるにふさわしき鋭い眼光で辺境伯から睨みつけられた侍女は、引き攣った笑みを浮かべて口元を抑えた。
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