聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「助けてくれると、ちょっぴり期待したけど……」

 そんなルセメルの姿など気にした様子もなく、セロンはゆっくりと目を開く。その後桃色の瞳の奥底に、憎悪を滲ませて淡々と宣言する。

「あの人はルイザと、想いを通じ合わせた。だから、嫌い」
「セロン様……」

 普段は感情の乏しい天使が、まさかこのような過激な発言をするようには見えなかったからかもしれない。ルセメルは驚きを隠せない様子で目を見開き、呆然とセロンを見つめた。

「わたし、あの人を懲らしめたい。聖女天使を神殿に閉じ込めて、管理する。悪い奴……」
「セロン様。旦那様は、どちらかと言うと……」
「ルセメル。荷物を持って、下がれ」
「で、ですが……っ」
「命令だ」
「は、はい……」

 何かと失言の多い侍女が声を発したところで、セロンを苛立たせるだけだと考えたのだろう。
 クロディオがルセメルに退出を促せば、命令に従った女性は荷物を手に部屋から出て行った。

『あの女……。何か、言いかけていたな……』
「わたしに、知られたくないこと?」

 あっという間に冷静さを取り戻して桃色の瞳から憎悪を消失させた天使は、こてりと首を傾げながら彼の表情を窺った。
 クロディオは罰が悪そうに視線を落とし、唇を噛み締めたあと――。
 言いづらいそうに、声を発する。
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