聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『あいつがいないと、楽でいいな。誰に遠慮する必要もなく、セロンと触れ合える……』
「みんなのため。必死に戦ってる……。そんなこと、言っちゃ駄目……」
『セロンは本当に、彼が好きだね』
「ん……。クロディオ、優しいから……」
『どうだか……。ボクには、本心とは思えないけど……』

 ペガサスが口にする不穏な声は気がかりだが、そんなことに意識を集中している場合ではない。
 クロディオは今もなお、敵を制圧するために剣を振るっているからだ。
 セロンはその様子を、じっと観察し続けた。

(大剣を振り回す時、クロディオ……。すごく、真剣な表情をしてる……)

 普段、領城で自分を見つめる優しい瞳とのギャップに驚き、ぜひともその瞳を真正面から覗き込みたい気持ちに駆られた。

 しかし、そんなことをすれば己の命はあっという間に刈り取られてしまうだろう。

(戦い、終わるまで……。我慢……)

 彼は戦場へ天使がやってくるのに、かなり難色を示していた。
 セロンが勝手な行動を起こして傷つこうものなら、父親のように小さな身体を地下室へ閉じ込めて誰にも手が届かないところで独占しようと目論む危うさが、クロディオにはある。
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