聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ごめん、なさい……。中身、見た……」
「謝罪は不要だ。それを、こちらに」
「うんん……」
「渡せ」
「わたし、自分で処分したい」
「駄目だ」

 彼はこのまま手紙をセロンが握りしめた状態では、それを頼りにここから逃げ出すかもしれないと恐れているらしい。
 どれほど天使が声を発しても、それを許そうとはしなかった。

『僕が体当たりをして、あいつの邪魔をしてやろうか』
「うんん。平気。1人でちゃんと、納得させられる」

 2人の成り行きを見守っていたペガサスの苦言に返答し終えたセロンは、手首を掴む力を強めた金色の瞳をまっすぐ見上げ――はっきりと宣言した。

「ここで、破り捨てる」
「君が……?」
「ん。手、離して?」

 彼は驚きの色を隠せぬ様子で、恐る恐るセロンの小さな手から指先を外す。

(三度目の、正直……)

 天使は桃色の瞳に確かな決意を秘める。
 その後、フラティウスにいだいていた淡い期待を捨て去るように、手紙を勢いよく破り捨てた。

『み、耳が……!』

 ビリビリと小気味のいい音とともに想いを込めて認められた便箋はあっという間に紙吹雪となり、天使の身に纏ってたドレスの上に降り注ぐ。
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