聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(わたしは恐れることなく、果敢に挑むクロディオが好き。その気になれば達成できることを、無理だと結論づける彼に、魅力は感じない……)

 自分が辺境伯をどう思っているのかについて結論を出したセロンは、ゆっくりと細い両腕を伸ばす。

「どうした」
「触りたい」
「どこを」
「頬……?」

 こてりと首を傾げて疑問形で口にしたセロンの声を受け、クロディオは己の身を乗り出す。

「いいだろう」

 セロンは小さな両手を、辺境伯の頬に触れた。
 髭の剃り残しがあるのか、顎の周りは撫でつけるたびにチクチクとした鈍い痛みが走る。

「これで、満足か」
「うんん……」

 くすぐったそうに金の瞳を細めた彼の声を聞いたセロンは、ペチンと弱い力で挟み込んだクロディオの頬を叩く。
 何が起きたかさっぱり理解できないとばかりに嫌そうな顔をする彼を至近距離で見つめた天使は、攻撃を仕掛けた理由を口にする。
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